

『母指CM関節症』
親指付け根の
変形性関節症

親指のつけ根に生じる違和感について
——母指CM関節症という状態
歯ブラシを握る。
フライパンを持ち上げる。
ペットボトルのキャップをひねる。
こうした日常動作の中で、
親指のつけ根に痛みや違和感を覚えることがあります。
強い外傷があったわけでもない。
無理をした記憶もない。
それでも続く不快感。
その背景に、母指CM関節症と呼ばれる状態が
関与していることがあります。
母指CM関節症とは
親指の付け根、手首に近い位置にあるCM関節は、
物をつかむ・ひねる・支えるといった
人の生活に不可欠な動作を担っています。
長年の使用によってこの関節のバランスが崩れ、
関節周囲の組織に負担が蓄積すると、
痛みや可動の制限として現れてきます。
特定の年齢や性別に多い傾向はありますが、
本質的には
**「よく使われてきた手に起こる変化」**と捉えるのが自然です。
このような変化がみられることがあります
・親指のつけ根が痛む
・物をつまむ、ひねる動作がつらい
・スマートフォンや工具を持つと違和感が出る
・細かな作業を無意識に避けるようになる
・つけ根の形が以前と変わってきたと感じる
これらは、
日常生活の質に少しずつ影響を及ぼします。
当院での評価について
私たちは、
「痛いか、痛くないか」だけで判断しません。
超音波検査や画像評価を用いて、
関節そのものだけでなく、
周囲の組織の状態や動きの連動性を確認します。
どこに、どのような負担がかかっているのか。
その構造を理解することが、
その後の選択を左右します。
治療の考え方
母指CM関節症に対するアプローチは一つではありません。
局所への精密な注射、
関節周囲環境の調整、
状態によっては再生医療など、
複数の方法を組み合わせて検討します。
重要なのは、
その方の生活や手の使い方に合っているかどうかです。
手術について
手術は、選択肢の一つではありますが、
最初に決めるものではありません。
保存的な方法を十分に検討し、
それでも必要と判断される場合に、
負担の少ない形を慎重に選びます。
最後に
母指CM関節症は、
「我慢が足りないから起こるもの」ではありません。
長い時間をかけて積み重ねてきた
手の使い方の結果として、
静かに現れる変化です。
状況を理解し、
無理のない選択を重ねていくこと。
それを大切にしたいと考える方にとって、
この場所は意味を持つはずです。


