


できるだけ大きく切らない手術について
手術と聞くと、
少し身構えてしまう方は多いと思います。
「こわいな」
「できれば避けたいな」
「手術までは考えていなかったな」
そう感じるのは、とても自然なことです。
手術が好きな人は、あまりいません。
ただ、手術は
ただ怖がって遠ざけるだけのものでもありません。
痛みが長く続いている。
動かしにくさがある。
しびれで日常生活に困っている。
そういう状態では、
手術によって、今のつらさを変えるきっかけを作れることがあります。
もちろん、誰にでも手術が必要なわけではありません。
手術をしなくてもよい方もいます。
ただ、手術を考えたほうがよい状態なのに、
「なんとなく怖いから」
という理由だけで先のばしにしてしまうと、
楽になるタイミングを逃してしまうこともあります。
まずは、
手術というものを少し落ち着いて見てみる。
それくらいの距離感で考えていただければと思います。
手術は「治るための始まり」です
手術をすれば、
その場ですべてが完成するわけではありません。
ここは、少し誤解されやすいところです。
手術とは、
悪さをしている構造を変える治療です。
引っかかっているところをゆるめる。
圧迫されているところを広げる。
動きを邪魔している部分を整える。
必要な場所に、必要な処置をする。
つまり手術は、
体の中の状態を変える
構造変更
のようなものです。
ただし、構造を変えたあと、
本当の意味で体を治していくのは、
患者さん自身の体です。
手術のあと、体の中では、
細胞が働き始めます。
傷んだ場所を片づける。
老廃物を処理する。
腫れを引かせる。
新しい組織を作る。
少しずつ動きやすい状態に戻していく。
そういう回復の仕事は、
手術そのものが一瞬で終わらせるものではありません。
手術は、
治癒のゴールではなく、治癒が始まるための入り口
です。
だから、手術後には時間が必要です。
焦らなくて大丈夫です。
体は、体のペースで回復していきます。
できるだけ大きく切らない理由
当院では、
できるだけ大きく切らず、
体への負担を少なくする手術を大切にしています。
これは、単に
「傷あとが小さいほうが見た目にいい」
という話だけではありません。
手術は、体にとっては一種のケガです。
もちろん、治すために必要なケガです。
悪い構造を変えるための、
構造変更のための傷
です。
でも、必要な傷であっても、
余計に大きい必要はありません。
特に手は、
神経、血管、腱、靭帯、関節が、
とても細かく入り組んでいる場所です。
ほんの少しの腫れ。
小さなこわばり。
わずかな癒着。
ちょっとした違和感。
それだけでも、
毎日の生活では気になることがあります。
だからこそ、手の手術では、
必要な場所にきちんと届くこと。
必要な処置をすること。
そして、余計な負担をできるだけ増やさないこと。
このバランスが大切になります。
大きく切ること自体が目的ではありません。
手術は構造変更です。
そのための傷は、
できるだけ小さいほうが自然です。
手術でできること、体が治していくこと
手術でできるのは、
悪い構造を変えることです。
たとえば、
引っかかりを取る。
圧迫をゆるめる。
通り道を広げる。
動きの邪魔になっている部分を整える。
これは手術の役割です。
でも、そのあとに、
腫れを引かせる。
老廃物を処理する。
傷を落ち着かせる。
組織を作り直す。
動きやすさを取り戻していく。
これは、体の役割です。
手術は、
体が治っていくための環境を作るものです。
構造を変える。
そこから体が反応する。
細胞が働く。
少しずつ回復していく。
そういう流れです。
ですので、
「手術したのに、すぐ完全に戻らない」
というのは、決しておかしなことではありません。
手術はスタートです。
そこから体が治っていきます。
手術のあとは、安静にしすぎないことも大事です
手術後は、
「しばらく使わないほうがいいのかな」
と思う方もいます。
もちろん、無理はよくありません。
痛みを我慢して使う。
強引に動かす。
がんばりすぎる。
これは違います。
ただ、当院では、
痛みのない範囲で、できるだけ積極的に動かすこと
を大切にしています。
手は、もともと動かすための場所です。
手術のあとに長く動かさないでいると、
傷のまわりや腱、関節のまわりが固くなることがあります。
組織同士がくっついてしまう、
いわゆる
癒着
が起こることもあります。
癒着が起こると、
せっかく構造を変えても、
動きが悪くなったり、
こわばりが残ったりすることがあります。
だから当院では、
ただじっと安静にするのではなく、
痛みのない範囲で早めに動かし、
癒着を防ぎながら回復を進めていきます。
「動かす」と「無理をする」は違います
ここは、とても大切です。
手術後に動かすといっても、
痛みを我慢して使うという意味ではありません。
痛くない範囲で動かす。
できる動きから始める。
固まらないようにする。
癒着を防ぐ。
少しずつ日常の動きに戻していく。
そういう考え方です。
「痛いけど我慢して使う」
ではありません。
「怖いからまったく使わない」
でもありません。
ちょうどその間です。
痛みのない範囲で、
できることを少しずつ行う。
この積み重ねが、
手術後の回復には大切になります。
しびれの疾患について
しびれがあるからといって、
すぐに手術になるわけではありません。
大切なのは、
そのしびれが生活にどれくらい影響しているかです。
たとえば、
物を落とす。
細かい作業がしづらい。
ボタンが留めにくい。
箸やペンが使いにくい。
仕事や家事に支障が出ている。
夜間のしびれで眠れない。
このように、
しびれによって日常生活に支障が出ている場合には、
手術を選択肢として考えることがあります。
反対に、
軽いしびれで生活への影響が少ない場合には、
手術以外の方法を考えることもあります。
「しびれがあるかどうか」だけではなく、
日常生活に困っているかどうか
を見て考えます。
手術は、ただ避けるものではありません
手術は、できれば避けたい。
それは自然です。
ただ、
必要な状態なのにずっと避け続けると、
痛みや動かしにくさが長引くことがあります。
しびれについても、
日常生活に支障が出ている場合には、
原因に向き合ったほうがよいことがあります。
手術は、
何かを無理やりするためのものではありません。
悪い構造を変えて、
体が治っていくためのスタート地点を作るものです。
必要な人にとっては、
これからの生活を徐々に楽にするための選択肢になります。
もちろん、
むやみに手術をすすめるわけではありません。
手術をしなくてよい状態なら、
手術以外の方法を考えます。
ただ、必要な場合には、
「手術という方法もある」
と知っておくことは大切です。
早く日常に戻りやすい流れを目指します
手術の目的は、
悪いところを処置することだけではありません。
その後に、
体が回復しやすい状態を作ること。
癒着を防ぎながら、動きやすさを保つこと。
日常生活に戻りやすい流れを作ること。
そこまで含めて、
手術だと考えています。
できるだけ大きく切らない。
余計な組織をできるだけ傷つけない。
必要な場所に、必要な処置をする。
手術後は、痛みのない範囲で動かす。
癒着を防ぎながら、体の回復を待つ。
手術は、完成ではありません。
手術は、
治癒が始まるための構造変更
です。
そこから、患者さん自身の体が働き、
少しずつ本当の回復が進んでいきます。
FAQ
Q. 手術はやっぱり怖いです。受けないほうがいいですか?
怖いと感じるのは普通です。
手術が好きな人は、ほとんどいません。
ただ、
「怖いから絶対に受けない」
と決めてしまうと、
もったいない場合があります。
手術は、悪い構造を変えて、
体が治り始めるためのきっかけを作る方法です。
手術が必要ない状態なら、
手術以外の方法を考えます。
でも、手術を考えたほうがよい状態なら、
今より楽になるための選択肢になることがあります。
Q. 最小侵襲手術とは何ですか?
できるだけ大きく切らず、
体への負担を少なくする手術のことです。
手術は、体にとっては一種のケガです。
ただし、治すために必要なケガです。
つまり、手術の傷は、
構造変更のための傷
とも言えます。
必要な傷であっても、
余計に大きくする必要はありません。
悪いところに届いて、
必要な処置をする。
そのうえで、
できるだけ傷を小さくし、
体への負担を少なくする。
それが最小侵襲手術の考え方です。
Q. なぜ大きく切らないほうがいいのですか?
手には、神経、血管、腱、靭帯、関節が、
とても細かく配置されています。
大きく傷つけると、
腫れ、痛み、こわばり、癒着などが起こりやすくなることがあります。
もちろん、必要な処置は行います。
ただ、必要以上に大きく切ることが、
よい手術とは限りません。
手術は、構造を変えるための治療です。
だからこそ、そのための傷は、
できるだけ小さいほうがよいと考えています。
Q. 手術をすれば、その場で完全に治るのですか?
その場ですべてが完成するわけではありません。
手術は、
悪い構造を変えるためのものです。
構造を変えたあと、
そこから体の回復が始まります。
細胞が働き、
老廃物を処理し、
腫れを引かせ、
新しい組織を作り、
少しずつ治っていきます。
手術はゴールではありません。
手術は、
本当の治癒過程の始まり
です。
Q. 大きく切らなくても、本当に意味がありますか?
意味があります。
手術で大切なのは、
傷の大きさそのものではなく、
原因になっている場所に対応できるかどうかです。
必要な場所に必要な処置ができるなら、
負担は少ないほうがよいと考えています。
特に手は、細かく動かす場所です。
余計な傷が少ないほど、
その後の回復過程を邪魔しにくくなります。
Q. しびれがある場合は手術になりますか?
しびれがあるだけで、
すぐ手術になるわけではありません。
大切なのは、
そのしびれが生活にどれくらい影響しているかです。
物を落とす。
細かい作業がしづらい。
ボタンが留めにくい。
箸やペンが使いにくい。
仕事や家事に支障が出ている。
夜間のしびれで眠れない。
このように、
しびれによって日常生活に支障が出ている場合には、
手術を考えることがあります。
Q. 手術後は、安静にしていたほうがいいですか?
安静が必要な部分はあります。
ただし、
ただじっとしていればよいとは考えていません。
当院では、
手術後は痛みのない範囲で、
できるだけ積極的に動かすことを大切にしています。
動かさなさすぎると、
組織が固くなったり、
癒着が起こったりすることがあります。
手術は構造変更です。
その後に体が治っていくためには、
固まりすぎないように動かしていくことも大切です。
Q. なぜ手術後に動かしたほうがいいのですか?
手は、毎日動かす場所だからです。
手術後に長く動かさないでいると、
腱や関節のまわりが固くなったり、
傷のまわりで組織がくっついたりすることがあります。
これを
癒着
といいます。
癒着が起こると、
手術で構造を変えても、
指や手が動かしにくくなることがあります。
だから当院では、
痛みのない範囲で早めに動かし、
癒着を防ぐことを大切にしています。
Q. たくさん動かしたほうが早く治りますか?
痛みを我慢して、
たくさん動かせばよいわけではありません。
大事なのは、
痛みのない範囲で、できるだけ積極的に動かすこと
です。
まったく動かさないと、
固くなったり、癒着したりすることがあります。
一方で、
痛みを我慢して無理に使うのもよくありません。
「動かさない」のもよくない。
「痛いのに無理して使う」のもよくない。
痛みのない範囲で動かし、
体の回復を邪魔しないように進めます。
Q. 手術をしたら、すぐ何でもできるようになりますか?
すぐに何でもできるとは限りません。
手術は構造変更です。
そこから体の治癒過程が始まります。
細胞が働き、
腫れが引き、
老廃物が処理され、
組織が落ち着いていくには時間がかかります。
ただ、当院では、
日常生活に戻りやすい流れを目指しています。
そのために、
手術後はただ安静にするのではなく、
痛みのない範囲で早めに動かし、
癒着を防ぎながら回復を進めます。
Q. 手術をしないで様子を見るだけではだめですか?
様子を見るだけでよい場合もあります。
ただし、
手術を考えたほうがよい状態なのに、
長く先のばしにしてしまうと、
楽になるタイミングを逃してしまうこともあります。
特に、しびれによって日常生活に支障が出ている場合には、
ただ様子を見るだけでよいかどうかを考える必要があります。
まだ手術以外でいけるのか。
手術を考えたほうがよい段階なのか。
今の生活にどれくらい支障が出ているのか。
そこを見て判断します。
Q. 手術は最後の手段ですか?
いつも最後とは限りません。
手術以外の方法が合う方もいます。
反対に、手術を考えたほうが早い方もいます。
大切なのは、
「手術だからダメ」
と決めつけないことです。
手術は、
悪い構造を変えて、
体が治っていくためのスタートを作る方法です。
今の状態に合った方法を選ぶことが大切です。
Q. どんな人が手術を考えたほうがいいですか?
たとえば、次のような方です。
痛みが長く続いている。
動かしにくさで困っている。
仕事や家事に支障が出ている。
趣味やスポーツを楽しめなくなっている。
ほかの治療をしても、十分によくならない。
しびれについては、
しびれがあるかどうかだけではなく、
日常生活に支障が出ているかどうか
を重視します。
物を落とす。
細かい作業がしづらい。
仕事や家事に困る。
夜間のしびれで眠れない。
このような場合には、
手術が選択肢になることがあります。
Q. 当院が大切にしていることは何ですか?
当院が大切にしているのは、
次のようなことです。
必要のない手術はしない。
必要な手術は、選択肢として伝える。
しびれは、日常生活への支障の程度を見て考える。
手術は、構造変更である。
手術は、治癒のゴールではなく始まりである。
できるだけ大きく切らない。
できるだけ体への負担を少なくする。
手は神経や血管が緻密な場所だから、余計な傷を作らない。
手術後は、痛みのない範囲でできるだけ動かす。
癒着を防ぎながら、動きやすさを保つ。
体の治癒過程を邪魔しない。
日常生活に戻りやすい流れを作る。
手術は、ただ怖がって避けるものではありません。
必要な人にとっては、
今のつらさを変えるための方法になることがあります。
ただし、手術は完成ではありません。
手術は構造変更です。
そこから患者さん自身の体が働き、
細胞が老廃物を処理し、
腫れを引かせ、
組織を整え、
本当の意味での治癒が始まります。
だからこそ、
必要な場所に、必要な処置を、必要なぶんだけ行う。
できるだけ大きく切らず、
できるだけ負担を少なくし、
手術のあとも痛みのない範囲で動かしていく。
そのような手術を大切にしています。

