テニス肘の治療の一つ|“滑走”を取り戻すハイドロリリース+修復を促す注射
- 山田哲生
- 8月22日
- 読了時間: 3分

肘の外側がズキッと痛む「テニス肘」。じつは、腱そのものの疲労だけでなく、周りの層どうしがくっついて“滑らない(滑走不全)”状態が長引きの原因になっていることがあります。当院では、まず超音波で原因を“見える化”。必要な部位に超音波ガイド下ハイドロリリースや修復を促す注射を最小限で行い、ときに橈骨神経(後骨間神経)まわりの通り道をやさしく整えます。外来で完結する治療です。
なぜ長引く?——テニス肘の正体をやさしく
腱の“ささくれ(変性)”ができる
その周りの組織がくっついて動かない=滑走不全
ときどき、神経の通り道が窮屈になって痛みがループ化
「安静だけ」「ストレッチだけ」で抜けないのは、動くはずの層が動いていないから。だからこそ“どこが動いていないのか”を超音波で確かめ、ピンポイントに整えます。
こんな症状は要チェック(セルフ判定)
物をつかんで持ち上げる/タオルを絞る/マウス操作でズキッ
手首を反らす動きで痛い
痛む位置が肘の外側の一点か、**少し前腕側(外側上顆から3–5cm遠位)**かで、対処が変わることも
痛みが“少し前腕側にズレている”なら、後述の橈骨神経まわりが関係しているサインです。
診察の流れ(当院)
問診・触診で痛点と動きのクセを把握
超音波で腱・周囲の層・神経走行を評価=滑走不全の有無を確認
方針共有:
滑走を回復(ハイドロリリース)
修復を促す注射
橈骨神経まわりの調整
を症状と所見に合わせて組み立てます
治療オプション
① 滑走を回復するハイドロリリース(超音波ガイド下)
目的:腱・筋膜・神経まわりの“面と面”を、薄い液でそっと開放し、摩擦や引っかかりを減らす
期待:痛みの軽減、動きの軽さの回復。以後のからだ本来の治癒が進みやすくなります
狙う層:伸筋腱付着部周囲/腱‐筋膜間/必要時は神経近傍の滑走層
リスク:内出血・一過性の痛み増悪など(すべて画像ガイドで安全性に配慮します)
② 修復を促す“修復系注射”
目的:慢性化して停滞している“芯”に修復スイッチを入れて、回復を後押し
向くケース:押すと芯が痛い/画像で付着部の厚みや変化がある/経過が長い
経過:数日~1週間ほど張るような痛みが出る場合があります。所見に合わせて投与間隔・回数を調整
備考:具体的な薬液・濃度は症例ごとに最適化します
③ 橈骨神経(後骨間神経)周囲のハイドロリリースが有効なケース
サイン
痛みの中心が肘外側よりやや前腕側に強い
中指を反らす/前腕を回外すると増悪しやすい
しびれは目立たないが、指を伸ばす・握るとすぐ疲れる感じ
ねらい:神経の通り道の窮屈さをやわらげ、神経と周囲組織の滑走を回復
よくある質問(FAQ)
Q. 何回くらい必要ですか?
A. 所見により個別設計です。毎回、痛み・可動と超音波所見を再評価し、次の一手を決めます。
Q. 仕事やスポーツにすぐ戻れますか?
A. 痛みが落ちたタイミングを活かして段階的に復帰をご提案します。無理なく現実的に調整します。
Q. 合併症はありますか?
A. 内出血・一時的な痛み増悪などが起こり得ます。画像ガイドで安全性に配慮し、必要な範囲に限って行います。
Q. ほかの治療との併用は?
A. 装具・再生医療など、症例に応じて組み合わせをご提案します。
主軸は滑走回復+必要に応じた修復促進です。
まとめ
ここまで読むと眠くなっていませんかー?(笑)
テニス肘は**「滑走」「修復」「神経周囲」**の三点を見ると、道がひらけます。
まずは超音波で“見える化”。どこに・何を・どれくらい行うかを明確にして、外来で完結。
迷ったら、評価だけでも大丈夫。あなたに合った最小限の一手を一緒に考えましょう。
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