

信用というのは、時間のかかった空気なのかもしれない
僕の師匠は、江戸時代から代々医者を続けてきた家系の先生だ。この時点でまあ、普通じゃない笑。最初にその話を聞いたとき、「こういう世界って本当にあるんだな」と妙に納得したのを覚えている。 さらに印象的だったのは、その交友関係だった。テレビやドラマの中で見るような、いわゆる上流階級と呼ばれる人たちが、特別な存在としてではなく、ごく自然に周囲にいる。誇示するわけでもなく、それが日常という感じだ。 一緒に飲みに行っても医療の話になることはほとんどない。歴史の話、旅の話、文化や経済、人の機微の話。話題は自然に移ろっていく。知識をひけらかす空気もなく、それが当たり前という雰囲気がある。長い年月をかけて積み重ねられたものは、案外こういうところに滲むのだろうと思う。 一方で、自分はそういう家系とは真逆の環境から来た人間だ。家柄としての信用とか文化資本という意味では、うちも積み重なったものがあるが、お師匠のそれとはかなり違う笑。異質なり笑。ただ、それを引け目に感じているわけではない。むしろ、自分の歩いてきた背景もまた、自分なりの色として誇っている。...

山田哲生
2月5日
